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名盤 ブルックナー:交響曲第4番【09】 ヴァント(2001L)

ヴァントミュンヘンブル4
「ロマンティック」
第1楽章・第3楽章
ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団
ギュンター・ヴァント(指揮)
Günter Wand
2001年9月15日(ライヴ)
ミュンヘン,ガスタイク

ギュンター・ヴァントは2002年2月14日に亡くなったのですが、この録音と次回の録音はヴァント最晩年の記録ということになります。

第1楽章
豊かなハーモニーを聴かせるトレモロに始まり、なにやら玄妙な演奏を聴かせるホルン他が主題を呈示します。トゥッティの、第1主題群中の2つ目の主題(経過主題)も音の厚みが十分で立派です。第2主題はミュンヘン・フィルらしく渋めのサウンドですが、質感が高く、さすがブルックナーを得意とするオーケストラという感じがします。トゥッティで演奏される第3主題はややくすんだ響きですが壮麗であり、金管群によるコラール楽句は落ち着いた感じで演奏されます。ヴァントの棒にぴったりと合わせて、しっとりと呈示部を終えていきます。
展開部は、感情表現はそこそこで、どぢらかといえば客観的な演奏ですが、ヴァントらしく精緻で緻密な音楽を聴かせてくれます。
再現部も効果とは無縁の演奏で、単調という言葉が頭をよぎりますが、枯淡の境地とも言えます。それが感動的かと問われると、首を縦に振れないのですが、これもブルックナーの理想的な再現であることは確かでしょう。とはいえ、木管楽器はもう少し感情を込めて演奏すればいいのにと、ミュンヘン・フィルにもう少し自発性を求めたくなるときもあります。なんだかんだと申しておりますが、コーダは十分壮麗で満足のいくものでした。

第3楽章
若干遅めのテンポによる主題の呈示は、ベルリン・フィルの方が精度の高い演奏であったように思われるのですが、ミュンヘン・フィルに不満があるわけではありません。
展開部はさらにゆったりとしたテンポとなり、もうちょっと速いほうが効果的だし、後に登場するトリオが引き立つと思うのです。
再現部は、もう少し颯爽としてほしいですが、堂々たる音楽に仕上がっていて、これはこれで良いかも。
トリオ部は、そのテンポの遅さゆえ、おっとりとしており、あまりオーストリアの農民舞曲という感じがせず、もっと高貴な音楽となっています。考えてみればトリオを農民舞曲にする必要はなく、この方がスケルツォ部との対比が際立つのかもしれません。
ダ・カーポ部分の感想は省略します。

いろいろ批判的なことを書いていますが、これだけ立派なブルックナー交響曲第4番はあまりないと思いますので【お薦め】にしたいと思います。

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コメント

コメント(6)
聴いてみたい1枚ですね。
ギュンター・ヴァントの第4番はケルン放送響、北ドイツ放送響は1990年盤、それにベルリン・フィル盤の3種類しか持っていません。
ご紹介の2001年盤の購入も考えましたが、ベルリン・フィル盤を購入したので止めてしまったのですが、聴いてみたい演奏ですね。

なお、HIROちゃんも第4番の名盤(好きな演奏)について今日、投稿してみました。ハルコウさんの記事を読むと的確な評価に圧倒され、投稿するかやめるか迷ったのですが、投稿してみました。
46種類の音源について適当な評価をしましたが、聴き直しを再びすれば評価の変わる演奏も多いと思っています。

これからの投稿も楽しみにしています。ハルコウさんの評価と異なる投稿もしていると思います。それにより、また同じ音源があれば聴き直し等をしてみたいと思っています。それにより新しい発見をすると思います。
でも、ブルックナーは個人的にはやはり第7、8、9番が愛聴盤になっています。第4番は進んで取り出して聴く機会は少なく、第4番より第5番の方が聴くことが多いですね。
最近は第6番もいいな~~~って思ってきました。

HIROちゃん

2021/11/26 20:51 URL 編集返信
ハルコウ
Re:聴いてみたい1枚ですね。
HIROちゃんさん
交響曲第5番や第6番は作曲者自身による改訂が行なわれていない本来のブルックナーを鑑賞することができる得難い曲と思います。でも、実は交響曲第6番を聴いていないのです。反省。

ギュンター・ヴァントによる「ロマンティック」は、今回4種類を取り上げましたが、個人的にはベルリン・フィル盤が最も素晴らしいと思いました。あまり印象に残っていない演奏だったのですが、改めて聴き比べてみると、ベルリン・フィルの威力には絶大が魅力がありました。

今回いくつの演奏を取り上げるかわかりませんが、おそらく第1稿の演奏は評価が甘くなると思います。第1稿がこんなにも変わってしまって第2稿になったのは驚きです。別人が編曲したみたいに思えます。

第2稿は聴いていて気持ちがよいです。他の交響曲だと疲れているときは聴けないのですが、第2稿は聴いて感想を書こうという気持ちになれます。なんとか最後まで続けられそうです。

ハルコウ

2021/11/26 22:35 URL 編集返信
Re:Re:聴いてみたい1枚ですね。
ベルリン・フィルとの録音はいわば「文句の付け所がない」ことは確かですが、私には、これは1度聞いたらもういい、というタイプ。愛聴盤にはならない気がします。
それに対して、このミュンヘン・フィルは「何度でも聴きたい」録音なんです。なぜかといわれると、答えに窮するのですが、もしかすると、私には技の完璧さは一種の「威圧」なのかもしれません。コンプレックスかも。アマチュア・オーケストラが大好きなのも、それに関係している可能性があります。

yositaka

2021/11/27 22:17 URL 編集返信
ハルコウ
Re:Re:Re:聴いてみたい1枚ですね。
ネコパパさん
ヴァント/ベルリン・フィルによる交響曲第4番は、最後に聴いたのがいつ(10年位前?)だったか全く思い出せないというくらい久しぶりに聴きました。こうして聴き比べてみると、ベルリン・フィルの威力には絶大なものがあり、思わず【決定盤】にしてしまいました。
ミュンヘン・フィルの演奏は、よくぞここまでヴァントの指揮に食らいついてくれたというもので、感心しましたが、絶対服従過ぎて堅苦しさを感じてしまいました。もう少し肩の力が抜けていたらよかったかも、です。

ハルコウ

2021/11/28 16:37 URL 編集返信
Re:Re:Re:Re:聴いてみたい1枚ですね。
ハルコウさん
そこは鋭い指摘です。
ベルリン・フィルは、きっと、そんなに食らいつかなくてもできちゃうんですよ。あの怖いヴァントの指揮ですら、余裕がある。それはヴァントの音楽よりもベルリン・フィルの技が勝っている。私はたとえ破綻しようが、食らいつくのがきっと好きなんです。それと、ミュンヘン・フィルの音の質感がいいんです。

yositaka

2021/11/30 13:15 URL 編集返信
ハルコウ
Re:Re:Re:Re:Re:聴いてみたい1枚ですね。
ネコパパさん
それはわかります。学生の音楽団体を聴き比べたとき、明らかに技術が優秀で余裕を感じさせる演奏よりも、拙くはあっても必死になって指揮棒に食らいついていく演奏に感動して涙するということがあります。
ミュンヘン・フィルはもちろん二流のオーケストラではありませんが、そのような聴き方もできるかもしれません。それにしてもミュンヘン・フィルって渋い音を出しますね。

ハルコウ

2021/11/30 21:21 URL 編集返信
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